11年ぶりに食の始めから終わりまで見られる皆既月食。これはまだ欠け始める前の満月です。日中はよく晴れていたのに、この時間帯になって雲が出始め、心配させられました。
(ISO80、1/250秒)
欠け始めて30~40分ほど経ったところで約半分欠けました。(ISO100、1/125秒)
皆既の10分ほど前。少し感度を上げ、シャッター速度を遅くして若干強調していますが、肉眼でも欠けた部分が赤銅色に見えるようになってきました。(ISO400、1/8秒)
皆既月食です。月面から見ると地球が太陽を隠して皆既日食になっているはずですが、地球の大気が太陽の光を屈折させるので完全に真っ暗にはなりません。短い波長の青い光は大気中の塵などで散乱してしまい、長い波長の赤い光だけが月面に届くので赤銅色に見えます。(ISO400、1秒)
心配していた天気も皆既中はほぼ雲がかからず、皆既が終わった頃にまた雲がかかるという幸運。しかも冬の夜中とはいえ気温は10度近くあり、観測日和でした!
素粒子の一種であるニュートリノが光より速いという観測結果が出たとかで話題になっています。
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20110926001&expand#title
本当に光速より速いのであれば相対性理論が根底から覆されてしまうことになりますが、真実はどうなんでしょうか?
根拠はありませんが、個人的には光速より速い物質は存在しないという定説に間違いはないと思います。
では、なぜ実験結果は光速より速いという結果がでたのか? 全くの素人考えですが、仮説を立ててみます。
1. 実験誤差
今回の実験では730㎞離れた2地点の時間を原子時計を備えた高精度GPS装置を使って同期させているそうですが、その時点ですでに2地点の時計に誤差が存在していた可能性は否定できません。片方の地点から他方の地点の時計を確認しようとしても、そこで0.002秒位かかってしまう訳ですから…。
2. 実は光速度が間違っていた
光速度は、2.99792458×108m/s とされていますが、そもそもこの速度が真の光速度より小さい値だったのかもしれません。というのは、光というのは簡単に障害物の影響を受けて遅れが生じます。例えば太陽の中心部で発生した光は、太陽の表面に出てくるまで100万年かかると言われています。しかしニュートリノは、ほとんどの物質を透過する性質を持っているため、すぐに太陽内部を通過してしまいます。障害物の影響をほとんど受けないニュートリノの速度こそが真の光速度であると仮定すれば、ニュートリノは光速より速いとは言えません。
3. ニュートリノは3次元の表面を進まない
質量があるニュートリノが光速と同じ速度を持つという前提がそもそも合理的ではないような気がします。
質量があるものは3次元の表面から沈み込むような絵でよく表現されます。光は質量がないので、表面から全く沈み込まずに表面上の最短コースを通って他地点へ到達します。ニュートリノは表面を通らずにわずかに沈み込んだ状態で進むと考えれば、3次元の表面を球の表面のようにイメージすると、少しだけショートカットできます。そうすると光と同じ速度でもニュートリノの方が速く到達することになります。
ニュートリノは本当は質量がないのに、3次元の表面より沈み込んで見えるために、3次元の世界においてはあたかも質量があるかのように観測されてしまうということはないのでしょうか?
また、あらゆる物質を透過してしまったり、観測が困難という物理的性質は、3次元の表面を通らないから、という理由であれば説明がつくかもしれません。
太古、地球に火星サイズの惑星が衝突し、巻き上げられた破片が集まって月が誕生したというのは、ジャイアント・インパクト説として定説になっていますが、その時、実は一旦2つの天体が形成され、その後数千万年してからその2つが合体して現在の月になったという説が現れました。
http://www.astroarts.co.jp/news/2011/08/05two_moons/index-j.shtml
月は重心が中心からずれた所にあったり、地球から見た表側と裏側では地殻の厚さや成分が異なることは、まだはっきりとした理由がわかっていませんが、この説が正しければこの点も説明がつくかもしれません。
コンピュータによるシミュレーションの図によれば、もう一つの月は直径が1/3~1/4程度で、当初は月と同一軌道上のラグランジュ点(60度離れた位置)を周回していたようです。もし現在も当初の状態が続いていたとすれば、月の出の後4時間くらい後に、月を追うように第2の月が地平上に現れ(順序は逆かもしれませんが)、空には8時間位月と第2の月が両方見られるという光景になりそうです。形はほぼ同じ(月が満月なら第2の月も満月)ですが、大きさは1/3程度のミニチュア月ということになります。
天文好きとはいえ、どちらかというと天文に関する知識重視で天体観測や撮影はほとんどやったことがありませんが、それでも十分に興味をそそる機器が発売されました。
PENTAXのカメラに装着するタイプのGPSユニット「O-GPS1」(別名「アストロトレーサー」)
http://www.pentax.jp/japan/products/o-gps1/
天体(特に星雲や天の川、銀河)は光量が少ないため、撮影する際は長時間露出しないと写ってくれませんが、そうすると日周運動により星が流れてしまいます。そのため、通常は赤道儀(回転軸を天の北極に向け、日周運動の速度に合わせて回転させる)やコンピューター制御の経緯台を用いたりして、天体を追尾するのですが、機器が大掛かりだったり、高価だったり、設定が大変など、なかなか誰にでも使えるというものではありません。
ところが、アストロトレーサーは、対応するカメラ(現時点ではPENTAXのデジタル一眼レフ2機種)のホットシュー(外付けのストロボ等を取り付ける部分)に装着し、市販の三脚等に固定するだけで自動追尾できてしまうという不思議な装置です。カメラ自体を回転させて追尾するのではなく、カメラは固定して、カメラの手ぶれ防止機能を自動制御して追尾するという、画期的な発想に驚きました。三脚を使わなくても、例えば地面に仰向けに置くだけで追尾可能らしいです。内蔵のGPSと加速度センサーにより、撮影ごとに方位を設定し直す必要もありません。
さすがに赤道儀を使った撮影と比べると精度は甘いですが、重さわずか60g程度、価格も2万円弱というお手軽な設定で、そこそこの撮影ができてしまうということで、メーカーの予想を上回る(?)売れ行きで現在品薄状態のようです。天体撮影の一大革命といっても過言ではないと思います。
今日は皆既月食の日。ちょうど職場の敷地内にある研修棟(新幹線から見える建物)の社員食堂に東向きの大きな窓があり、その方角は日中富士山がよく見えるくらい開けているので、観測には絶好のロケーションと思い、デジカメも用意して夕方になったら休憩時間をとって観測しようと思っていました。
しかし、昼頃から曇り始め、夕方には雨が降り出す始末。皆既日食と違い、皆既月食では曇っていたら全く変化がありません。結局見られず仕舞いでした。次回は来年の12月10日だそうです。
注目を集めていた金星探査機「あかつき」の金星軌道投入は失敗していたことが判明しました。金星接近時に逆噴射により減速して金星周回軌道に乗せる予定が、トラブルのため逆噴射が停止してしまい、十分な減速ができなかったとのこと。
金星は直径が地球の約95%と、ほぼ同じ大きさですが、自転が243日もかかり、しかも自転方向が公転方向と逆という変わった惑星です。自転が超スローの割に、上空では秒速100mもの強風が吹く「スーパーローテーション」という現象の秘密を解明することも今回の探査では期待されていました。
幸い、金星の公転軌道からそう遠くない位置で太陽を周回(つまり人工惑星)する起動に留まっているらしく、6年後には再度金星に接近するため、その時に再チャレンジするとのことですが、金星周回軌道に乗せられるほど金星に接近できるのか、未知数の部分はありますが、その時を待ちたいと思います。
それにしても米国やロシア、最近では中国やインドまで多額の予算をかけて宇宙開発に取り組んでいますが、日本は削られていく一方。国民生活に直接的な関係はないとはいえ、こういう最先端の分野にはしっかり予算を付けて取組んでほしいものです。
すばる望遠鏡がとらえた渦巻銀河M33の高解像度画像が公開されました。
http://subarutelescope.org/Pressrelease/2009/01/22/j_index.html
M33銀河はM31(アンドロメダ銀河)の近くにあり、銀河系から250万光年。大きさはアンドロメダに比べると小さいのですが、銀河系と比べればわずかに小さい程度。ただし、アンドロメダと違い、肉眼ではほとんど見るのは無理と言われています。銀河系が最近渦巻銀河ではなく棒渦巻銀河であることがわかってきたのに対し、M33はきれいな渦巻銀河です。
非常にきれいに撮れているので、ページの下の方にある画像(中サイズ)をダウンロードし、銀河を中心にトリミング、適当な大きさに縮小してセカンドPCのデスクトップ(壁紙)にしました。ちなみにメインPCの壁紙はM31(アンドロメダ銀河)です。さすがに迫力はアンドロメダには負けますが、とてもきれいですよ。
昼間は富士山でしたが、夜は星空です。今日は木星と金星がかなり接近して、カメラの同じ視野内に捉えることができました。上が木星、下が金星。約2度離れていますが、これは満月ほぼ4個分に相当します。木星も相当明るいのですが、金星と一緒ではさすがに分が悪いですね。
実は更にこの下には細い三日月があり、本当の見ごろは明日12月1日です。月も木星と金星に接近し、おそらく明日なら3天体を同じ視野内に収めることができるでしょう。全天で太陽を除いて最も明るい天体No.1~No.3の競演です。
月と一緒では明るさが違いすぎて霞んでしまう・・・ということはありません。というのは月は非常に細くなっていて(月齢3~4日)、明るさは金星と大差ありません。明日の夕方は是非西の空をながめてみてください。
NASAの火星探査機フェニックスが、高度約4kmにある雲から降る雪を検出した。この雪は地表に届かずに蒸発してしまうが、火星の雪が地表に到達する可能性もあるとして、その証拠探しが進められている。【2008年10月2日 JPL】
http://www.astroarts.co.jp/news/2008/10/02martian_snow/index-j.shtml
残念ながら火星の地表に雪が積もることはなさそうですが、雪ができるだけの水蒸気量があるということの裏返しなので、なかなか興味深い話です。ちなみに火星の地表の気圧は6ヘクトパスカル程度しかなく、この気圧だともしも地表に積雪したとしても解けて液体の水にはならず、昇華してそのまま水蒸気になってしまいます。
余談ですが、火星で雪というと、昔見ていた宇宙戦艦ヤマトが地球人類史上初のワープテストで火星付近にワープアウトしたところ、船体に異常が見つかったため一旦火星に着陸したとき、雪が降っていたのを思い出します。
ラグビーボールのような形状で知られる太陽系外縁天体(136108)2003 EL61が、「ハウメア(Haumea)」と命名された。これは国際天文学連合(IAU)の承認によるもので、あわせて準惑星および冥王星型天体としての分類と、2つの衛星の名前も承認された。【2008年9月18日 IAU】
詳しくは以下。
http://www.astroarts.co.jp/news/2008/09/18haumea/index-j.shtml
7月には2005FY9が4番目の準惑星「マケマケ」と命名されたばかりですが、この「ハウメア」が5番目の準惑星となります。ハウメアの特徴は何と言ってもその形状。よくラグビーボール状と言われますが、ラグビーボールだと北極方向に尖った形状になりますが、実際には極方向につぶれ、赤道方向に伸びた形状です。円盤投の円盤状といった方が近いです。
1日がわずか4時間という地球の6倍もの高速の自転による赤道方向の遠心力がこの形状の要因ということですが、地球もかつては1日が8時間位だったようなので、その頃はもっとひしゃげた形だったのでしょうか?
太陽系から約500光年の距離にある恒星を撮影したところ、近くを惑星質量の天体が写っているのを確認したとのこと。
http://www.astroarts.co.jp/news/2008/09/17planet_image/index-j.shtml
恒星は太陽の約85%の質量を持つ主系列星。近くに写った「惑星」と見られる天体は、木星質量の約8倍で、中心星からの距離は330天文単位と非常に遠く離れています。ここまで離れていると、円盤状の塵からできた太陽系の惑星とは異なる生成過程であったと思われます。恒星ではないものの、連星と同じような過程で誕生し、結果的に質量が足りずに恒星になれなかったか、あるいはもっと離れたところで独立して誕生して中心星に捕らえられたか、いずれかではないでしょうか。実際、恒星と褐色矮星の連星系や褐色矮星同士の連星系も存在します。
この惑星状の天体の表面温度が摂氏1500度という点も気になります。研究チームは誕生して間もないために高温を維持していると考えているそうですが、実は褐色矮星(重水素核融合により誕生からごく短期間だけ輝いていた天体)という可能性もあるかもしれません。褐色矮星は一般的に木星質量の13~80倍程度と言われていますが、木星質量の7倍の褐色矮星というのも見つかっているらしいので、惑星と認定するにはこの天体をもっとよく観察する必要があります。
国際天文学連合(IAU)は、2005年5月に発見された太陽系外縁天体(136472)2005 FY9について、「マケマケ(Makemake)」という名称を承認するとともに、準惑星として分類することを決定した。マケマケは4つ目の準惑星で、3つ目の冥王星型天体となる。【2008年7月16日 IAU】
詳しくはこちら↓
http://www.astroarts.co.jp/news/2008/07/16makemake/index-j.shtml
これで初めて準惑星が定義された時に選ばれた冥王星、エリス、ケレスに次いで4番目の準惑星となった。マケマケとは妙な名前だが、大きさは1300~1900kmと冥王星の0.6~0.8倍程度の直径を持ち、離心率でいえば冥王星よりも小さい(円に近い)。ただし軌道傾斜角は29度と冥王星(17度)よりさらに大きく傾いている。また、軌道半径は45AUで冥王星より6AUほど大きく回っている。
今はまだ4個しかない準惑星だが、マケマケの他にも準惑星となりそうな天体はすでにセドナなどいくつか候補があり、今後も更に発見が予想されるので、覚えきれなくなるのも時間の問題か。
国際天文学連合(IAU)は11日、惑星から除外した冥王星(プルート)をはじめ、海王星の外側にあって、惑星の基準を満たさない天体の正式名称を「冥王星型天体」(プルートイド)とすると発表した。ノルウェー・オスロで開いた執行委員会で決定した。(以下略)(共同)
dwarf planet(準惑星)という名称が残るのかどうかは不明。いずれにしてもPluto(冥王星)という名前を何らかの形で残したいという力が強く働いたであろうことは容易に想像できます。たぶん「準惑星」がなくなってしまうとセレスのようなメインベルトの中で準惑星とされていたものの分類がなくなってしまうので、「準惑星」は残ると思います。太陽系外縁天体(trans-Neptunian objects=TNO)という用語もあり、ますます混乱しそう。
太陽系外縁天体のうち、ある程度の大きさを持ち準惑星とされるものを「冥王星型天体」というのだと思います。
説を発表した神戸大学大学院理学研究科惑星科学研究センターのプレスリリースに記者発表資料とか論文も掲載されていて詳細情報を知ることができます。論文は80ページの大作でしかも英文なので所々斜め読みしただけですが。
http://www.org.kobe-u.ac.jp/cps/press080228_j.html
神戸大学大学院理学研究科のパトリック ソフィア リカフィカ(Patryk Sofia Lykawka)研究員と向井正教授は、太陽から80天文単位(120憶キロメートル。1天文単位は地球から太陽までの距離)よりも遠いところに、未知の惑星が存在するという予測を発表した。
http://www.astroarts.co.jp/news/2008/02/28planet_x/index-j.shtml
第9番惑星が「消滅」してからまだ間もないですが、早くも新惑星存在の可能性を示唆する記事。予想では大きさは冥王星やエリスを遥かに上回り、地球並み。組成は氷と岩石中心なので密度は低くなり、質量は地球の0.3~0.7倍とか。しかし他の太陽系外縁天体同様、大きく歪んだ楕円軌道で公転面も他の惑星より大きく傾いているようです。
これほどの大きさの天体を生成する物質が海王星以遠で集まるのか、という疑問については、海王星同様、現在位置よもっと近くで生成され、海王星の移動とともに更に外側へはじき飛ばされたという説を展開しています。
ただし、仮に運よく発見できたとしても、「軌道近くに似たような天体が存在しない」という惑星の条件に合致するかどうかはすぐには判定できないかもしれません。でもまずは早期に発見してほしいですね。
今日は快晴で月明かりがなく、しかもふたご座流星群のピークということで、しばらく外に出て観察してみました。比較的市街地に近い住宅地ということで、まず暗い場所を探すのに苦労しました。20~30分位でしょうか、視線から外れたところでちょっと光って流れたかな、という確信を持てないのが3回位。だんだん冷えてきたのでそろそろ戻ろうという時、ようやくはっきりと明るい流星を見ることができました。放射点だけ見ていてもなかなか見えないので、意外と難しいです。首も痛いです。
本格的に見ようと思ったら、海岸などへ行って寝袋に入りながら仰向けになって観察しないとダメですね。
国立天文台、日本望遠鏡工業会が主体で「惑星ぜんぶ見ようよ☆キャンペーン」を実施中。2007年6月30日~2008年5月31日までの間に8惑星を見つけようという企画。賞は3段階で、「ブロンズ認定賞」は、地球(デフォルトで観察済)のほか、金星、火星、木星、土星を見つけて申告すると認定される。さらに水星を見つけると「シルバー認定証」、天王星と海王星を見つけると「ゴールド認定証」がもらえる。(認定証はPDFファイルをeメールで送ってくれる)
サイト上の星図を参考に観測し、昨日ブロンズに到達。天王星と海王星は望遠鏡がないと無理だし、水星も実は観測が難しい(ホントかウソか、あのケプラーやコペルニクスも生涯見たことがないという話を聞いたことがある)。水星は6月初旬の東方最大離角という千載一遇のチャンスに見逃してしまったのが悔やまれる。
地球からわずか20.5光年にある恒星系に、直径が地球の約1.5倍、質量が約5倍という、観測史上最も地球に近い太陽系外惑星が発見された。
http://www.astroarts.co.jp/news/2007/04/26gliese581/index-j.shtml
系外惑星は自ら光を発しないため直接観測できず、惑星の質量により主星(恒星)がふらつくのを観測する。そのため、当初は木星クラス(地球質量の300倍程度)の大型惑星しか発見できなかったが、観測精度の向上により天王星クラス(地球質量の15倍程度)まで観測可能となり、今回はそれを更に下回る地球質量の5倍の惑星が見つかった。しかも、主星の表面温度や主星からの距離から推測すると、その惑星の表面温度は何と0~40度という。液体の水の存在も期待される。
主星と惑星の距離は地球と太陽の距離のわずか14分の1、公転周期は13日しかない。それでも地球と温度が変わらないのは、主星が赤色矮星と呼ばれる小さな恒星のため。気温は地球と同程度でもここに問題がある。まず恒星に近すぎるため、惑星が常に同じ面を恒星に向けている可能性がある。月が常に同じ面を地球に向けているのと同じ理屈だ。そうなると、太陽に向けている面は常に100度を超え、反対側は逆に常に氷点下という厳しい環境となる。
また、赤色矮星は閃光星である可能性が高い。閃光星というのは太陽でいうフレア(表面の小爆発)の大規模なものが頻繁に起きる星で、その規模と言ったら恒星の明るさが変わってしまうほどの凄まじさ。だから閃光星も生命にとって厳しい環境と言える。ただそういうネガティブな条件があったとしても、今回の発見はとても興味深い。
土星の衛星タイタンの北極地方を覆う巨大な雲を、米航空宇宙局(NASA)の土星探査機カッシーニが撮影したとのこと。
NASAサイトに掲載された写真
雲があるということは、タイタン表面に液体が存在する有力な証拠となる。(※金星のように分厚い大気を雲ということもあるが、そういったものとは明らかに違い、地球の雲に近いもの)
雨を降らせるところを是非見てみたいものだが、カッシーニはタイタンを周回はするが大気圏には入らないのでそれは無理か。
2003UB313の正式名称が「エリス」に決まったことは先日書いたが、その衛星(これまで「ガブリエル」と呼ばれていた)の正式名称も決まっていたようだ。その名は「ディスノミア」。
http://www.astroarts.co.jp/news/2006/09/15eris_dysnomia/index-j.shtml
エリスはギリシャ神話で「男性に嫉妬やねたみの心をかき立たせ、争いを引き起こす、ギリシャ神話の不和と争いの女神」という意味で、今回の冥王星外しの一連の騒動を引き起こした張本人であることを連想させる。ディスノミアはエリスの娘であり、「混沌と争いの女神」らしい。和名はたぶんつかないだろう。
ちなみに、現在dwarf planet(矮惑星)と認定された天体とその衛星の名前は、
セレス(火星と木星の間の小惑星帯最大の天体)…衛星なし
冥王星とカロン(二重矮惑星)…「ニクス」、「ヒドラ」というカロンよりはるかに小さな2つの衛星がある。
エリス(冥王星よりやや外側、冥王星よりやや大きい)…衛星「ディスノミア」
国際天文学連合(IAU)は13日、“第10惑星”と騒がれ、冥王(めいおう)星の惑星からの降格のきっかけとなった矮(わい)惑星「2003UB313」を、ギリシャ神話に登場する「混沌(こんとん)」と「不和」の女神にちなみ「エリス」と命名した。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20060914i418.htm?from=main4
海王星以遠の天体で初めて冥王星より大きいことが確認されたこの天体は、当初愛称として「ゼナ」と呼ばれていたが、この度「矮惑星」と認定されたことに伴い、正式名が付けられたもの。ゼナという名が既に馴染んでいただけに、ちょっと違和感がある。ちなみに「ゼナ」には「ガブリエル」という名の衛星があるのだが、この衛星にも正式名が付けられるのだろうか。
国際天文学会(IAU)で冥王星は惑星ではないと決議されたことに対し、米国の科学者らが「IAUの決定は科学的ではなく政治的。科学的に恥ずべき定義」と批判し、再定義を求めているとのこと。新聞社各紙とも記事があったが、中でも一番過激な書き方をしていたのが産経新聞。
http://www.sankei.co.jp/news/060902/kok048.htm
なぜ米国がこだわるかというと、冥王星は太陽系の惑星(当時)のうち、唯一米国人が発見したからというのが根っ子にある。そんなことで決定が覆されたら、どっちが政治的なんだか…。
今回の決定は、定義の表現の仕方にやや難はあるが、冥王星と他の惑星を異なる分類にしたのは十分に科学的だと思うのだが。
帰省で3日間家を空けている間に惑星の定義が確定してしまった。結局、当初案は反対意見の嵐で全く採用されず、天文に詳しい人ならば極めて合理的な結末「冥王星は惑星から除外する」ことになった。
新たな惑星の定義として「1.恒星の周りを回る」「2.重力平衡のためほぼ球形」「3.軌道近くで圧倒的な質量により他の天体を撒き散らして(あるいは合体して)残った」ことが条件とされた。冥王星は、海王星や最近発見されたエッジワース・カイパーベルト天体(EKBO)と軌道が近く、それら近傍の天体の中で他の天体を撒き散らすほど圧倒的な質量を持っていないことにより、3つ目の条件を満たすことができない。
今回驚いたのは、結論ではなく、マスコミの騒ぎぶり。確かに教科書をつくっている出版社とか困惑しているだろうなとは思うが、一般の人から見てそんなに大事件でもないだろうに。冥王星が消えてしまうと誤解する人が出そうな気がする。天文に詳しくはないが少し前(当初案が公開された頃)から関心を持った人は「セレス」とか「カロン」とか「2003UB313(愛称ゼナ)」など訳のわからん「惑星」が突然現れたと思ったら今度は馴染みの冥王星が「降格」だの、かなり混乱しているのではないか。
国際天文学連合総会で衛星の定義として「惑星との共通重心が惑星の内部にあるもの」とされているため、冥王星の衛星とされてきたカロンが惑星に昇格しようとしている。ちなみに冥王星自体は、惑星ではあるもののPluton(冥王星群?)という特殊なカテゴリーに位置付けられている。冥王星にとっては実質「降格」に近い。
冥王星の質量は地球のわずか452分の1。月と比べても0.18倍しかない。しかしカロンの質量は冥王星の9分の1もある。冥王星とカロンの距離19300kmから共通重心を割り出すと、冥王星の中心から1,934kmの所にある。これは冥王星の半径1,137kmよりも大きい。つまり共通重心は冥王星の外側にあるため、カロンは衛星ではなく、冥王星との二重惑星ということになる。
一方、月の質量は地球の81分の1。これでも母星比では太陽系内でカロンの次に大きい。地球と月の距離384,400kmから共通重心は地球の中心から4,672kmと出る。地球の半径は6,378kmだから、共通重心は地球の外部に出ていない。したがって地球と月は二重惑星とは言えないことになる。しかし、月は誕生以来、地球から徐々に遠ざかっているので、地球との距離が約53万kmを超えると共通重心が地球の外に飛び出て、月は惑星の仲間入りすることになる。もっとも、現在の遠ざかる速度(年間3.8cm)から計算しても、それは37億年くらい先のことである。
もし、今回の案が採用されてカロンが惑星に昇格すれば、月は太陽系の中で母星比質量が最大の衛星に昇格することになる。
8月14日からチェコで開かれている国際天文学連合総会で「惑星」の定義が変わるかもしれないと以前書いたが、その原案が公開された。
http://www.astroarts.co.jp/news/2006/08/16planet_definition/index-j.shtml
案によると、
・惑星とは「重力平衡の結果ほぼ球形で、恒星の周りを回り、恒星・衛星でないもの」
・衛星とは「惑星との共通重心が惑星の内部にあるもの」
・黄道面上でほぼ円軌道を持つ惑星を「Classical Planets(古典的惑星?)」という。但し、セレス(火星と木星の間の小惑星帯にある最大の小惑星)は特別に「Dwarf Planet(小人惑星?)」という。
・海王星付近より遠く、軌道と黄道面との傾きが大きく、離心率の高い惑星を「Pluton(冥王星群?)」という。
この結果、
・水星~海王星はClassical Planetsで文句なく惑星。
・セレスは小惑星から「惑星」に昇格。但しDwarf Planet。
・冥王星は惑星の座を維持するも、Pluton。
・冥王星の衛星とされていたカロンは、冥王星との共通重心が冥王星外にあるため、惑星。ただしPluton。
・最近発見され、冥王星よりやや大きいとされる「ゼナ」は惑星。ただしPluton。
以上で、この案が承認されれば惑星は12個ということになる。なお、「月」の場合は、地球との共通重心が地球の内部にあるため惑星ではなく「衛星」になる。
ここで疑問がいくつか出る。
・小惑星帯の中には、セレス以外に重力平衡による球形の天体は他にないのか。
・セドナやクワォワーはカロンよりも大きく、ほぼ球形と認識している。
・もし未知の褐色矮星が存在したら、それは今回の定義では惑星になる。(従来は連星の一種とするのが一般的)
この案が承認されたとしたら、多くの天文ファンは失望するだろう。
地球から400光年の位置に、木星質量の7倍と14倍に相当する褐色矮星の連星系が発見されたとのこと。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20060804ik01.htm
よく木星は「太陽になりきれなかった星」と言われるが、本当に太陽になりきれなかったのは、木星の約13~80倍の質量を持つ「褐色矮星」。恒星は自らの重力で内部が高温化し、中心の温度が300万度以上に達すると核融合が起こるが、それには木星の80倍の質量が必要となる。ただし、ごく少量存在する重水素の核融合はそれより低い温度で起こるため、木星の13倍以上の質量があれば、重水素の核融合が始まり、一旦は恒星のように輝く。ところが重水素は量が少ないためすぐに燃え尽き、後は光は出さないものの余熱で表面温度800~2500度程度と木星よりははるかに高温となる。
褐色矮星は恒星の周りを回っていることもあり、惑星なのか、恒星のなりそこないなのかはっきりしないところがあったが、恒星が存在しない褐色矮星同士の連星が発見されるようになり、恒星の一種と捉えられるようになってきた。つまり、褐色矮星を回る「惑星」の存在も当然予想される。
今回の発見は、木星質量の7倍と14倍とのことだが、14倍の方はギリギリ核融合が起こり得るが、7倍の方は本当に褐色矮星なのか、褐色矮星であれば木星の7倍の質量しかないのになぜ重水素の核融合ができたのか。ナゾが残る。
8月14~25日までチェコで開かれる国際天文学連合(IAU)総会で、「惑星」の定義が見直されるかもしれないとのこと。
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20060729k0000e040069000c.html
今回の議論での最大の注目は、冥王星は惑星かどうか再確認されることだろう。冥王星がカイパーベルト天体(EKBO)の一つであることはすでに周知の事実であるし、冥王星の大きさを上回るEKBOさえ見つかっている。また、これらをひっくるめて「準惑星」としたらどうかという人もいる。今回の結末は非常に注目している。
NASAが土星の衛星タイタンにメタンかエタンの湖らしい地形を発見したとのこと。
http://www.nasa.gov/mission_pages/cassini/multimedia/pia08630.html
探査機カッシーニや着陸したホイヘンスをもってしても、これまで期待されていた海は発見できなかった。
今回、海ではなく湖とはいえ、NASAの写真(2つあるうちの上の画像)は横420km×縦150kmであることから推測すると、最も大きく写っている湖は対岸まで最大100km位はありそうだ。面積はざっと琵琶湖の10倍くらいか。いずれにしても、タイタンに液体の表面があったことで、何らかの生命体の存在への期待は高まる。
7月2日に長径800mの小惑星が地球から43万kmという近傍を通過していたらしい。
http://www.planetary.or.jp/HotTopics/topics060712_2.htm
この距離は地球から月まで(38万km)の1.1倍強、地球と太陽間(約1億5000万km)のわずか1000分の3という至近距離。このくらいの距離に接近する小惑星は実はさほど珍しいわけではないが、もし衝突したらテポドン2どころの騒ぎではない。
新衛星の名前は「ニクス」と「ヒドラ」。詳細はこちら
冥王星の衛星といえば、太陽系内の衛星では母星比で最大の大きさを持つ「カロン」(第2位は地球の「月」)しかないと長い間(といっても30年弱だが…)考えられていたが、昨年5月にカロンの10分の1程度の直径しかない衛星2つが発見された。
カロンは地球の月と同じく、ジャイアント・インパクトにより誕生したと考えられているが、ニクスとヒドラも成分が似通っているよらしく、同時に誕生したという説が有力。もしかしたら他にも小さな衛星があるかもしれない。2015年には冥王星探査機「ニューホライズンズ」が到着予定だが、素晴らしい光景が期待できそう。
問題は、それまでの間、冥王星が「惑星」の座を維持できているかどうかだが…。冥王星はもともと月の直径の2/3、質量は1/6しかなく、すでに冥王星を上回るエッジワース・カイパーベルト天体(EKBO)も発見されている。国際天文学連合(IAU)は今年の8月に惑星の定義を正式に議論するとのこと。惑星にとどまるのか、小惑星の仲間入りするのか?
系外惑星(太陽系以外の恒星系の惑星)は、惑星が自ら光を発することはないため直接観測することはできないが、惑星の重力により恒星がふらつくことで間接的に観測できる。そのため、従来は木星級の重さ(地球の約300倍)を上回る重さの惑星しか発見できなかった。
しかし最近は観測精度が上がり、海王星級の質量(地球の15倍程度)の惑星まで発見可能となったとのこと。しかも1個ではなく複数個の惑星の動きまで把握できるようになってきた。
http://www.planetary.or.jp/HotTopics/topics060524_2.htm
これまではホットジュピター(熱い木星)といって、恒星の周りを数日の周期という水星の軌道よりはるかに近いところを回っている巨大惑星しか発見できなかったため、一時は太陽系のような惑星系は非常に珍しいのではないかとも言われた。今回発見されたものもまだ太陽系と似ているとは言えないが、観測技術が上がれば太陽系によく似た惑星系もそのうち発見できるのではないか。
昨年、「第10惑星か?」と話題になった天体の大きさをハッブル宇宙望遠鏡で観測した結果、当初推測されていた冥王星の1.3倍の大きさではなく、ほぼ冥王星と同じであるとNASAが発表したとのこと。(NIKKEI NET他)
冥王星の直径は約2,300km(月の約60%)と非常に小さい。これまでも海王星の軌道の外側では、クワオワー、セドナなど小惑星としては大型の天体が発見されてきたが、いずれも冥王星よりは小さく、惑星の称号は得られなかった。しかしこの「第10惑星」は直径3,000kmと冥王星の1.3倍程度の大きさがあり、冥王星に次ぐ10番目の惑星の有資格者との声も多かった。
ただその一方で軌道が大きく傾いているなど、惑星の特徴から外れており、あくまで小惑星にとどまるとの意見も根強い。その場合、この新天体より内側にあり、大きさも小さい冥王星は惑星としての立場が危うくなるなど、話題性の大きな新天体だった。今回冥王星とほぼ同じ大きさということで、おそらく冥王星の第9惑星の座は安泰となるだろう。個人的には冥王星はどう考えてもEKBO(エッジワース・カイパーベルト天体)の一つだと思うので、冥王星をはるかに凌駕する天体の発見を期待しているのですが。