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カロンが惑星なのに月はなぜ衛星?

国際天文学連合総会で衛星の定義として「惑星との共通重心が惑星の内部にあるもの」とされているため、冥王星の衛星とされてきたカロンが惑星に昇格しようとしている。ちなみに冥王星自体は、惑星ではあるもののPluton(冥王星群?)という特殊なカテゴリーに位置付けられている。冥王星にとっては実質「降格」に近い。

冥王星の質量は地球のわずか452分の1。月と比べても0.18倍しかない。しかしカロンの質量は冥王星の9分の1もある。冥王星とカロンの距離19300kmから共通重心を割り出すと、冥王星の中心から1,934kmの所にある。これは冥王星の半径1,137kmよりも大きい。つまり共通重心は冥王星の外側にあるため、カロンは衛星ではなく、冥王星との二重惑星ということになる。

一方、月の質量は地球の81分の1。これでも母星比では太陽系内でカロンの次に大きい。地球と月の距離384,400kmから共通重心は地球の中心から4,672kmと出る。地球の半径は6,378kmだから、共通重心は地球の外部に出ていない。したがって地球と月は二重惑星とは言えないことになる。しかし、月は誕生以来、地球から徐々に遠ざかっているので、地球との距離が約53万kmを超えると共通重心が地球の外に飛び出て、月は惑星の仲間入りすることになる。もっとも、現在の遠ざかる速度(年間3.8cm)から計算しても、それは37億年くらい先のことである。

もし、今回の案が採用されてカロンが惑星に昇格すれば、月は太陽系の中で母星比質量が最大の衛星に昇格することになる。

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