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世界陸上2009(3)

メダル2、入賞5という結果は過去の大会と比べても悪い数字ではありませんが、事前の期待と比べると内容的にはかなり物足りなさを感じた人が多いのでは?

今回のベルリンのトラックは、いわゆる「高速トラック」ではないようです。映像を見てもトラックの表面は昔ながらのチップ(つぶつぶ)タイプ。スプリント、跳躍で自己ベストはもちろんシーズンベストにもはるかに及ばない選手が多かったのはトラックの影響を否定できません。しかし、トラックの影響があったとしても、自己ベストとの乖離が大きすぎます。「ボルトはちゃんと世界新を出しているではないか」と言われればそれまで。

期待はずれに終わった本当の原因は「記録のインフレ」による『勘違い』だと思います。国内ではほとんど高速トラック、特に長居あたりは記録が出る風が吹きやすいとの評判です。「国内では未承認の高速水着で好記録を連発して前評判は上がったが、本番は規定通りの水着だった」ようなものです。こういう好条件で記録を出してしまうと、表面的には世界のトップクラスと肩を並べてしまい、心理的に守りに入ってしまいます

最終選考会が終わった後は疲労を抜くことだけに意識が行ってしまい、競技当日は全く疲労感や筋肉の張りがない状態で迎えます。身体が軽いので当然「調子は良かった…」と感じるでしょう。しかし実際には2ヵ月近くも強化練習から遠ざかっていれば運動能力は当然低下しています。そうなると、全くいいところなしで終わるか、最初のラウンド1本目はなんとか走れても、2本目、3本目と続けては無理です。

市民ランナーの世界でも、好記録が出る時というのは、決して全く疲労がない状態ではなく、多少は筋肉の張りを自覚しているなど、若干の不安を抱いているときの方が多いのではないでしょうか?逆にアップでやたらと身体が軽い時は得てして「こんなはずじゃなかったのに」という結果に終わることもよくあります。前日やレース直前の過剰なマッサージやストレッチングも実は逆効果で、筋肉には程よい緊張が必要です。

競歩も今回かなり勘違いしていたように思えます。いくら国内でハイレベルの記録を出していても、歩型違反に対して甘いところで出した記録を真の実力と思ってはいけないということを改めて認識しました。国内大会では日本記録保持者にはなかなか警告を出せないどころか、むしろそういう選手の歩型こそが「正しい」という基準になってしまいがちです。競歩については海外で経験を積むしかないと思います。

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コメント

 期待はずれの原因は、「「記録のインフレ」による『勘違い』」と、「最終選考会が終わった後は疲労を抜くことだけに意識が行ってしまったこと」ですか。
 私もいろいろ考えましたが、なるほどです。納得しました。

 あと、「疲労を抜くこと」に関連して、身体能力に恵まれない日本人が、世界に伍して戦うのに、身体の限界ぎりぎりの練習をしていると考えられます。なので、選考会(日本選手権)と世界陸上の2度ピークを作るのは困難ということなのでしょうね。

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