日本選手権(女子中長距離)
10000mは歴史的な好レースと言えるだろう。スタート直後は赤羽が先頭を切ったが、1000m過ぎからはずっと渋井がレースを引っ張る。リアルで見ていたらペースメーカーに終わってまたも五輪代表を逃すと思っただろう。レースが動いたのは8000m。7600m辺りで松岡が交代し、渋井、赤羽、福士の三つ巴。まず動いたのは赤羽。しかし急激な変動はなく、その後に福士が前に出たところで一気にペースが上がる。昨年までの福士ならここでリードして安全圏だったであろう。しかし福士の走りは昨年とは違い、推進力が弱い。一瞬赤羽が遅れかけるが追いつき、ラスト1周のバックストレートで逆に赤羽が一気にスパート。福士が遅れるが渋井は差を保ち、最後の直線でついに赤羽を差した。感動的なレースだった。渋井と福士の差はマラソンを走った時期の差が出たのではないか。11月の東京に出た渋井は完全に復調していたが、1月の大阪に出た福士はまだ回復途上。むしろ31分18秒まで復調したのさえ驚きでもある。このレースを見れば優勝を逃した赤羽、福士とも文句なしに選ばれるのではないか。
800mは佐藤が本調子にはほど遠く、自ら引っ張れない状態では記録も望めず。優勝はしたものの2分05秒37の凡記録。個人的には女子800mを変える可能性があるのは丹野だと思っている。
3000mSCは終始先頭を走った早狩が優勝し、代表内定。発展途上の種目とはいえ、35歳での初五輪は賞賛もの。逆に2位以下は徐々に底上げされてきているが、もっと走力が必要。(早狩は5000mベスト15分11秒)
1500mは小林がいない中、特別ハイペースではないものの吉川がスタート直後から先頭を引っ張り、ラストも他を寄せ付けず圧勝。力をつけている。ラスト300mは47秒0で、ラストの切れ味だけなら小林を上回るのではないか。まずは4分10秒を切ってほしい。
5000mは小林が15分11秒97で優勝、すでにA標準は破っているので代表内定。本人は1500にこだわりがあるだろうが、世界的に見れば5000mの方が近道。レースを見ていないので何ともいえないが、ラスト1000mは2分53秒だったようだ。赤羽、福士、渋井が続いたが、10000mの疲労もあり、1500m選手の小林のこのスピードにはついていけなかったか。本番では14分台と決勝進出を期待したい。