びわ湖毎日マラソン
大崎選手が2時間8分36秒で日本人1位。北京五輪の代表をほぼ手中にした。もともとびわ湖に出なくても大阪世界選手権6位の実績だけでも選考される可能性はあったのだが、あえてリスクを冒して国内選考レースに挑戦し、なおかつ狙ったレースでしっかり実力を発揮して文句なしの結果を出す。速さでは佐藤敦之選手の方が上だが、「強さ」では負けていないと思う。
1位のシャミ選手にも、40kmでは37秒差があったのに、最後は13秒差まで詰めていて、ラスト2.195kmは5km換算で15分18秒にペースアップしていて、日本選手全般のラストの課題もクリア。東京で藤原新選手が出した2時間8分40秒をオーバーしていたら…という仮定の話をしても、今日のレースなら多少の超過は問題ないだろうと思う。
大崎選手以外では、意外な選手が上位に入ってきた。4位の大西選手は2時間8分54秒。25km手前で遅れ出し、30kmでは大崎選手と17秒差。しかし一時は6~7秒差にまで詰め寄り、あわや逆転というところ。もし逆転していたら選考がまたもめるところだったかもしれない。大西選手といえば駒沢大OBだが、駒大OBで過去サブテンは藤田選手、西田選手の2人。しかしこの2人は駒大の大エースであり、ベスト記録はいずれも大学卒業後1~2年に出したもの。いわば学生時代の遺産といえなくもない。その後も駒大のエース級は社会人に入ってから目立った活躍がない。
一方、大西選手は駒大時代、5000m13分57秒、10000m28分45秒、箱根駅伝も1年で7区2位、2年で3区4位、4年で6区2位とそれなりに実績はあるが、エース級ではなかった。そして卒業後8年目にして初サブテンというこれまでになかったタイプ。日清食品では39歳でまだ衰えを感じさせない実井選手といういいお手本がいるだけに、まだまだ期待できる。
清水智也選手は中間点の前で既に後退していたので、全く意外だった。大崎選手との差を見てみると、25kmで19秒、30kmで37秒、35kmで40秒、40kmで38秒、ゴールで47秒。早い段階で離れながらも自分のペースを維持してかなり粘っていて、ハイペースの影響で崩れて落ちてくる選手を確実に拾っている。清水智也選手も、双子ランナーということで注目はされていたが、学生陸上界を代表するような実績はなかった。同じ双子でも兄・将也(旭化成)の方がどちらかといえば体格も恵まれ、実績は上だったが、長距離ではあまりメジャーではない佐川急便というチームで、初マラソンサブテン。なかなか面白い選手になってきた。