野口鮮やか!東京国際女子マラソン
北京五輪の代表選考会を兼ねた東京国際女子マラソン。野口みずき選手が2時間21分37秒の大会新で2着を2分近く離して圧勝。
まさに王者のレースでした。前半は向い風にもかかわらず渋井選手に対して一歩も引かずともに先頭を走り、後半は微妙にペースアップしながら他の選手のスタミナを奪い、終盤の登り坂でも全く疲労を見せない走り。このレースの走りそのものも素晴らしいのですが、何よりすごいのは狙ったレースにビシッとピークを持ってくる調整力。過去の調整実績も含めて日本では他の選手の追随を許さない。速いだけでなく真に強い選手です。
それと比べると無残に散ったS選手は、直前の駅伝で10km31分そこそこで走るなど好調が伝えられていましたが、どこか方向が違っているというという印象でした。もっとも、その時点からの方向修正は無理でしょう。少なくとも2~3ヶ月前から向かう方向がズレていたと思います。中期的に先を読める選手との差がはっきり出たレースでした。まあチームに所属しているわけだから選手だけの責任ではありませんが…。
もう一人、当初このレースに出る予定だった選手も、調子が合わなくて回避した時点で野口選手との差は歴然です。仮に他の選考レースで今回のタイムを上回る記録で圧勝したとしても、それは半ばフロックに近いものです。マラソンは絶好調時に出せる潜在能力がなければもちろん勝負になりませんが、半年後位のある特定の1日にピークを合わせられる能力が極めて大事だからです。
それにしても事実上あと1枠になってしまった女子マラソン。今から2レースで1人しか選ばれない選考会をどう走れば選ばれるのか、そしてそこへ到達するまでどういうプロセスを踏めばよいかをここ2~3日のうちにしっかりイメージ、方向修正して、監督・コーチと納得いくまですり合わせ、実行できた選手が必然的に決まるのではないかと思います。というか、そうあってほしいです。そういう選手ならば、本番でも強さを発揮できると思います。