2007箱根駅伝復路
近年は優勝争いよりもシード権争いの方が加熱してきている。数ある駅伝の中で箱根駅伝が最も人気がある理由はシード権にあるといっても過言ではない。7区終了時点では15位までのチームは次の区間で一気にシード圏内に浮上する可能性があった。9区まで6位の早大あたりでも10区で少しでも異変があればシード落ちという接戦。
それだけ下位校のレベルが上がっている、と考えるのは早計かもしれない。優勝タイムは昨年より3分57秒早いが、10位のタイムは3分14秒遅い。気象条件により一概にタイムの比較はできないが、気象条件で言えば今年はまずまずのはず。しかし昨年11位の城西大のタイム11時間16分10秒は今年なら4位に相当する。昨年10秒差で泣き、その悔しさをバネに力をつけたはずの城西大でも4分40秒も低下している。昨年よりタイムを上げているのは順大、日大、東海大、早大、専大、中央学大の6校。トラックや予選会のタイムが落ちているわけではないので、独りでも走れる選手が育っていないということだろう。
少子化の影響で徐々に選手が集めにくくなっているのかもしれない。特に近年駅伝に力を入れ始めた学校は、一時的に選手を集めて強くなっても長続きしない。今回出場校の中では駒大、亜大、山梨学大や神奈川大が昨年・一昨年あたりから比べて大きく順位を下げ、関東学院大、帝京大、拓大、平成国際大などは出場すらできていない。
一方、今回上位校の順大、日大、東海大、日体大、東洋大、早大はいずれも駅伝だけでなくすべての“Track&Field”に力を入れてきた学校。付け焼刃で駅伝だけ力を入れ、引退した著名選手を監督として招へいしても、知名度が使えるのは数年間だけで、有望選手をいつまでも囲い込むことはできない。そういった意味では批判の多いインカレポイント制は将来を危惧した先見性の高い策と言えるのかもしれない。そしてこのまま少子化が続けば、いつの日か古豪の筑波大、慶大、立大あたりが復活する日がくるのかも。もっともその頃は今のようには加熱していないかもしれないが。