ネアンデルタール人は37年前に分岐か?
米国とドイツの研究チームがネアンデルタール人のゲノムの一部解析に成功し、ホモ・サピエンスとネアンデルタール人は37年前までに分岐したと発表。この解析結果による限り、ホモ・サピエンスとネアンデルタール人の交雑はなかったとのこと。
http://www.asahi.com/science/news/TKY200611150517.html
先日、別の研究チームが骨の化石の形状から混血の可能性を発表したばかりだが、それはこのように説明できる。混血は異種同士が交配し、子供をもうけることを指すが、その交配種が子孫を残すことができなければ、現生人類のゲノムにもネアンデルタール人のゲノムにも記録は残らない。交配可能でも子孫を残せない例はたくさんある。例えば、雄ロバと雌ウマの混血「ラバ」は、異種混血によりできた新たな種であるが、繁殖能力を持たない(不妊)。だからいくら雄ロバと雌ウマのゲノムを調べても、他方の痕跡は見られないのと同じ。ラバそのもののゲノムのみ交雑の事実を保有している。
つまり、ホモ・サピエンスとネアンデルタール人が交雑したゲノムを見つけるには、わずか1世代しか存在しない交配種を運よく見つけなければならないため、確率的に非常に小さいものとなってしまう。先日交配種の可能性があると発表されたルーマニアの化石そのものでゲノム解析ができれば非常に興味深いものとなるのだが。