初めてのPC
初めて自分でPCを買ったのは、1989年1月。当時修士1年で、論文が手書きからワープロ書きが主流になりつつある時期。買ったのはエプソンのPC286VE。当時、エプソンはNECのPC9801シリーズの唯一の互換機メーカー。CPUはインテルの16ビット最後のCPU、i80286の12MHz。メインメモリは640KB(MBではない)。当時としては最高レベルの性能だった。FDは5インチのドライブ2基を搭載。HDは標準では付いていない。後で40MB(GBではない)のHDを外付けした。総額はPCとプリンタで約40万円。HDは7万円ほどした。今と比べると非常に高価だが、今のPCをはじめ情報機器を取り扱う上でのベースとなっているので、高い買い物とは思っていない。
エプソンのPCがPC9801シリーズと違うのは、OSが内蔵されていないこと。9801はROM-BASICというOSをROMに持っていたが、すでにROM-BASICは過去の遺物となっており、OSはフロッピーディスクで供給されていた。使えたOSはN88BASICとMS-DOS。まだゲームもN88BASICが多かった。MS-DOSは一太郎やロータス123などのビジネスソフトには、なんとMS-DOS2.11そのものが付帯していた。MS-DOS3.1や3.3は単体で販売されていた。BASICの書き方やDOSのコマンド、バッチファイルの作り方、config.sysを書き替えて環境を変えたり、ということはこの頃に覚えた。今となってはほとんど無駄な知識となっているが・・・。
当時論文書きやプログラミングを通じてタッチタイプをマスターしたおかげで、今でもキーボードを直接見ることは少ない。しかし、当時は今とショートカットキーの使い方が違っていた。「Ctrl+E,S,X,D」はダイヤモンドカーソルと言って、カーソルキーに手を伸ばさなくてもカーソルを移動できたし、「Ctrl+M」はリターンキー、「Ctrl+H」はBSキーの代わりになったので、ほとんどホームポジションから手を離す必要がなかった。
FEP(フロントエンドプロセッサ:日本語変換ソフト。現在はIME:インプットメソッドエディタと呼ぶ)は一太郎Ver3に付いているATOK6を主に使っていた。おかげで今でもいわゆる「指がATOK」で、今でもMSIMEのキー入力をATOK式にして使っている。N88BASICではATOKが使えないので苦労した。単漢字変換や最悪の場合コード入力をする機会もあった。BASICはその後、DOS上で動くQuickBasic(VisualBasicの前身)が出たのでその苦労もなくなった。
プリンタは、当時はインクジェットやレーザーはなく、熱転写かドットインパクト方式しかなかった。買ったのはドットインパクトで、現在は複写用紙に印字するための業務用プリンタとして辛うじて見ることができるが、ピー、ガガガと激しい音のするプリンタだ。
結局最初のPCはその後約5年間使うこととなる。