北京オリンピック(7)
次は男女中距離です。
男子800mは大会前、1分42秒台をマークした選手が3名(ボルザコフスキー、カメル、カキ)、他にもロペス(キューバ)が1分43秒07などまずまず盛況でした。特にカキ(スーダン)は19歳の伸び盛りでベスト1分42秒69はジュニア世界新。ところが、準決勝でカキとボルザコフスキーが敗退してしまいました。カメル(あのビリー・コンチェラーの2世)もプラスでようやく拾われる有様。結局決勝ではカメルは5位、ロペスも6位に沈み、優勝はブンゲイ(ケニア)に転がり込みました。
男子1500mは大会前のランキングでも1位が3分31秒台と近年になく低レベル。そうなると勝負強いラムジ(バーレーン)とラガト(米)が強いと思われました。ところが事もあろうにラガトは準決勝を2組5着+2のところ6位に終り、2/100秒差で決勝進出を逃してしまいました。一方のラムジは絶対的な力はないもののラストのキック力は一歩抜けていて初の五輪金メダル。
女子800mは今年になって突如現れたジェリモ(ケニア)。昨年までは400mの選手(ベストは今年出した52秒68)だったと言うから耳にしなかったのも当然ですが、19歳で大舞台にきちんと合わせられるかが懸念材料。しかしそんなことは全く問題とせず1分54秒87で2着のジェプコスゲイを1.20秒引き離しての圧勝。ジェリモは8月29日のチューリヒ国際では更に1分54秒01に伸ばしています。歴代でこの記録を上回る53秒台をマークしたのは2人のみ。いずれも今ほどドーピングが厳格でない80年代前半に東欧の選手が出したものなので、実質世界新と言えるかもしれません。ジェプコスゲイは2007世界選手権では圧倒的な強さを見せましたが、ジェリモの前では影が薄くなってしまいました。なお、ムトラは5位でしたが、この後、ジェリモが世界歴代3位を出したチューリヒ国際で引退とか。
女子1500mは直前にロシアの3選手がドーピング発覚で出場できなかったため、多くの選手に優勝のチャンスが生まれました。混戦を制したケニアのラガトという選手は正直、全く認識していませんでした。すでに27歳になる選手なのですが、2005年に4分02秒31をマークして以降の戦績が見当たらず、それ以前もアテネ五輪準決落ちくらいしか探せませんでした。800mも2分01秒26と特別速いわけでもありませんが、ラスト300mを43秒台で走っているところを見ると、潜在的にはもっとスピードを持っているのかもしれません。