国際千葉駅伝
男子は1区からケニアの独走になってしまい、勝負の面白味はなかった。
1区の序盤こそ集団で走っていたが、2km5分27秒で通過した後、ケニアのマサシが一気にペースアップ。1km2分33秒で走られては日本選手はとてもついていけない。レース前から「残り3kmでペースアップ」と公言していたが、中間点前から「残り○km」という感覚がそもそも並の選手と違う。結局5kmを13分13秒で走り、2番手には日本学生選抜の上野が13分32秒で入り、更に1秒差で日本代表の佐藤悠基が続いた。上野は大学3年になってから好調を維持している。佐藤は相変わらずスピードの持続力はあるがラストの切れがない。
2区10kmは注目のマサイ族、ゲディオンが5kmを13分07秒というとてつもないペースで入った。後半はさすがに落ちたものの、26分51秒で突っ走って差を大きく広げた。2番手は残り2kmでスパートした伊達(東海大)が28分20秒の区間2位でカバーし、学生選抜の北村(日体大)は28分38秒の区間4位。
3区5kmもダビリ(ケニア)が13分29秒の区間賞。日本代表の尾田(トヨタ自動車)は14分05秒の区間3位。4区10kmはケニアのコリルがどうしたことか29分46秒もかけてしまい、世界新の期待は薄れた。その間に日本は佐藤敦之が28分28秒の区間賞で差を詰め、1分07秒差まで迫った。
5区5kmは各選手とも坂と風に苦しみ、ケニアのモグスでも14分01秒。それでも区間2位、学生選抜の小野(順大)より43秒も速かった。日本代表は白柳が振るわず。最終区7.195kmはジュイ(ケニア)が20分38秒で結局ケニアは6区間中5区間で区間賞。1時間57分58秒で優勝し、日本代表は2時間00分01秒で2位。学生選抜は2時間02分03秒で4位に入った。
女子も1区からケニアが独走態勢を築いた。フィレスは15分11秒だったが、日本代表松岡(スズキ)は15分20秒の区間2位で走る大健闘。淡路島、中部実業団でも1区で好走していたが、好調が持続している。2区10kmはキムウェイ(ケニア)が31分20秒で後続を大きく広げた。日本は扇(十八銀行)が32分38秒の区間4位。ロシアに抜かれ、2位と14秒差の3位。
3区5kmはチェピエゴ(ケニア)が15分31秒でまたも区間賞。区間2位には日本代表の那須川が15分50秒で入り、ロシアとの差を2秒差まで詰めた。4区10kmはケニアがデレバを起用し、圧倒的なスピードはないものの安定した走りで32分02秒の区間賞。日本は加納(資生堂)が32分22秒の区間3位で走ったが、2位ロシアとの差は11秒に広がった。
5区5kmはボゴモロワ(ロシア)が16分16秒で初めてケニア以外の選手が区間賞を取ったが、差は6秒しか縮まらない。日本は早狩がスピードに乗れずロシアとの差も1分近くに広がった。最終区7.195kmもロシアが区間賞を取ったが、ケニアが2時間13分35秒とロシアに1分16秒の差をつけて優勝。ロシアはメンバーは悪くないのだが、すでにシーズンオフで太り気味の選手もいるなどベストの状態にはほど遠い。日本はロシアからも2分09秒遅れて3位。学生選抜は日本代表から1分44秒遅れの4位と健闘。
男女共に言えることだが、メンバー集めに相当苦心した様子がうかがえる。ホスト国として恥ずかしいレベルではまずいし、かといって一線級は他のレースとの兼ね合いでなかなか出せない。学生も男子は箱根駅伝を約1ヵ月後に控えて走り込み中であり、各校監督は本当は出したくないのが本音ではないか。本当に世界を見据えて取り組むなら、こういう大会でケニアに真っ向から勝負できるようなスピードをつけることも大事だと思うのだが。