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高橋尚子選手引退

東京、大阪、名古屋の3大会をすべて走ると宣言していた高橋尚子選手が、東京国際を前に引退会見。結局東京国際は欠場することになったとのこと。

全盛時の力には遠く及ばないものの、3大会出場だけはやってから引退宣言と思っていたので、突然の会見は意外でした。陸上競技の競技力は記録で正確に表されてしまうので、ピークを過ぎて記録が落ち始めると、記録以外によほど強固な目標がない限り、モチベーションを維持できないのは仕方のないことです。2年前の東京国際(2時間31分22秒で3位に終わったレース)で本人もうすうす感じていたのではないでしょうか。

しかし兆候はその前年に既にありました。同じ東京国際で2時間24分39秒で優勝し、復活と言われましたが、脚に肉離れを抱えていました。筋肉系のトラブルが出始めると選手寿命は著しく縮まります。私も2000年9月に初めて肉離れを経験してから競技力音低下が顕著になりました。そういう意味では肉離れで北京五輪を欠場した野口みずき選手の選手生命も、もう長くはないかもしれません。筋肉の損傷の原因の一つに高地での過酷なトレーニングがあります。極端な高地トレーニングを恒常的に行うと、短期的には競技力が向上しても確実に身体は蝕まれます。

そういえば2002年に肋骨の疲労骨折で東京国際出場取り止めということもありましたが、思えばこれが最初の注意信号だったのかもしれません。鳥や恐竜はかつて低酸素時代に繁栄が始まりましたが、当時低酸素環境での呼吸に適した気嚢(きのう)システムを獲得すると同時に、骨を空洞のようにして重量を減らし、エネルギーの消耗を抑えたといいます。高地トレーニングを続けることで骨密度が低下しても不思議ではありません。

おそらく、もう身体はボロボロで、頑張れば頑張るほど更に身体が蝕まれるという悪循環に陥ってしまい、ついには精神的にも限界に達してしまったのではないでしょうか。肉離れや半月板損傷などがあったり、同じ36歳(2002年東京)で限界を感じたことなど、多少自分とオーバーラップする点もあり、今はもう「気が済むまで休んで」と言いたい気持ちです。

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