メイン

1億2500万年前に空飛ぶ哺乳類?

空を飛ぶ哺乳類は、現在ではコウモリ、滑空を含めればムササビなどが存在するが、最古をさかのぼると約5000万年前のコウモリと言われていた。それが中国の内モンゴル自治区でムササビのように滑空するタイプではあるが、1億2500万円前の哺乳類の化石が発見されたとのこと。
読売新聞記事
産経新聞記事(写真付き)

奇しくも鳥の出現とほぼ同時期にあたることから、この時代、空へ進出しようとする何らかの必然性があったのだろうか。結果的には鳥類の一部は現在まで受け継がれ、今回発見された滑空哺乳類は絶滅した(コウモリやムササビなどの祖先ではない)。しかし重要なことは、生物はあらゆる可能性をもとめて進化するということ。現在は人間がいいように自然破壊し、多くの種を絶滅に追いやったのだが、いずれ絶滅を逃れるために何らかの進化を遂げた生物が出現する可能性は高い。それが現生鳥類のように成功するか、今回の滑空哺乳類のように失敗に終わるのかはともかくとして。いやそれとも、人類が絶滅するのが先か?

ネアンデルタール人は37年前に分岐か?

米国とドイツの研究チームがネアンデルタール人のゲノムの一部解析に成功し、ホモ・サピエンスとネアンデルタール人は37年前までに分岐したと発表。この解析結果による限り、ホモ・サピエンスとネアンデルタール人の交雑はなかったとのこと。
http://www.asahi.com/science/news/TKY200611150517.html

先日、別の研究チームが骨の化石の形状から混血の可能性を発表したばかりだが、それはこのように説明できる。混血は異種同士が交配し、子供をもうけることを指すが、その交配種が子孫を残すことができなければ、現生人類のゲノムにもネアンデルタール人のゲノムにも記録は残らない。交配可能でも子孫を残せない例はたくさんある。例えば、雄ロバと雌ウマの混血「ラバ」は、異種混血によりできた新たな種であるが、繁殖能力を持たない(不妊)。だからいくら雄ロバと雌ウマのゲノムを調べても、他方の痕跡は見られないのと同じ。ラバそのもののゲノムのみ交雑の事実を保有している。

つまり、ホモ・サピエンスとネアンデルタール人が交雑したゲノムを見つけるには、わずか1世代しか存在しない交配種を運よく見つけなければならないため、確率的に非常に小さいものとなってしまう。先日交配種の可能性があると発表されたルーマニアの化石そのものでゲノム解析ができれば非常に興味深いものとなるのだが。

ネアンデルタール人とホモサピエンス混血の可能性

1950年代にルーマニアで発掘された人類化石がホモサピエンスとネアンデルタール人の両方の特徴を備え、混血の可能性があると米国などの研究チームが米科学アカデミー紀要電子版に発表。

ホモサピエンスの祖先は、ネアンデルタール人の祖先と約60万年前に分岐しており、混血は不可能か、できたとしても子孫は残せないのではないかと言われてきた。今回の化石も、1代目なのかそれ以降なのかはわからない。はっきりしているのは、今回の発表が正しければ、一定期間、一定地域でホモサピエンスとネアンデルタール人の交流があったのは間違いないこと。

しかし残念ながら現代人にネアンデルタール人のDNAが引き継がれていないことから、混血の種はいずれ絶滅したということはほぼ間違いない。やはり分岐してから年月が経ちすぎてしまったのだろうか。もっと早い段階で交流していれば、人類の歴史は大きく変わっていたに違いない。

アファール猿人の顔を復元

330万年前のアファール猿人の3歳女児の顔を、独マックスプランク進化人類学研究所や米国などの国際チームの助言を得て、首から上をオランダの企業が復元したとのこと。
毎日新聞 2006年10月27日の記事l

見る限り、この年代では顔の方は類人猿から大きく変わっていないように見える。
もしこの猿人が現存しているとしたら、我々現生人類は学術的なことを抜きにしてヒトに見えるだろうか、それとも上手に2足歩行する類人猿に見えるだろうか。

ネアンデルタール人の結末に新説

約3万年前までに地上から姿を消したと考えられていたネアンデルタール人が2万8000~2万4000年前まで生存していたことを示す生活跡が、イベリア半島で発見された。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20060914i503.htm

ネアンデルタール人(ホモ・ネアンデルターレンシス)は、現生人類(ホモ・サピエンス)ではなく、別種の人類で約3万年前(書物によっては2万7千年前との記述もある)に絶滅したといわれる。人類の歴史から見れば、つい最近まで生き延びていたと言える。ホモ・サピエンスの登場により駆逐されてしまったと考えられていたが、この発見が正しければ、絶滅と考えられていた時期から更に6千年も生存していたことになる。これだけ長い期間になると、少なくとも同時期に同じ地域に共存していたのはもちろん、争いも少なく、何らかの交流があったと考えても不思議ではない。

「混血があった可能性もある」と考える専門家もいるようである。DNAレベルの研究でそれは否定されたというのが通説だが、もし混血があったとするならば、ネアンデルタール人の血は現在でも受け継がれている可能性があり、なかなかワクワクする話である。

恐竜展@浜松科学館

dinosours.jpg8月24日、浜松科学館で開催中の恐竜展に行ってきた。小さな建物なので、恐竜展とは言っても、幕張メッセでやっているような大きさで圧倒するようなものではなく、恐竜から鳥への進化をテーマにしたもの。画像は会場で売っていたパンフレット(福井県立恐竜博物館発行)。鳥とも恐竜とも言いがたい「微妙」な化石や写真を数多く展示。
当日、たまたま5万人目の入場者がいて、記念品として何かの化石をもらったとのこと。もう少し入場時刻をずらしていればもしかしたら当たったかも。

フロレス島の新種人類説に「待った」

インドネシアのフロレス島で発見され、2004年に英科学誌ネイチャーにより伝えられた「ホモ・フロレシエンシス」。ジャワ原人の亜種の最後の生き残りとされ、島しょ効果(狭く閉ざされた地域に生息する生物は小型化する)により成人の身長が約1m、脳の重量はチンパンジー並みの400gしかない。ホモサピエンスが登場して10万年以上、ネアンデルタール人が絶滅した後も細々と子孫を残し、わずか1万3千年前に絶滅したという。

ところが、この説に反論する論文が米科学アカデミー紀要に近々掲載されるとのこと。新説では、あくまでホモ・サピエンスの一種が小型化したものというのが要旨。日本でもかつて、琉球諸島にいた港川人がその小ささ(成人男性でも140cm位)にホモ・サピエンスとは別種と考えられていたものの、結局は島しょ効果による小型化に過ぎないことが明らかになったが、それの更に極端な例に過ぎないということだ。

前者の説の方がより人類進化のロマンを感じられるのだが。

米独、ネアンデルタール人のゲノム解読へ

ドイツの研究所と米国のバイオ企業が協力し、今後2年間かけて、ネアンデルタール人のゲノム解読に取り組むとのこと。
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20060723k0000m040030000c.html

ネアンデルタール人は現生人類(ホモサピエンス)と約60万年前に枝分かれし、2万7千年前まで生存していた最も現生人類と近い人類と言われている。現生人類の亜種(ホモサピエンス・ネアンデルターレンシス)という学説も依然として残っているほどだ。脳の容量は同程度かむしろ大きかったとされるが、発声能力が不十分だったこと、寒冷地に適応しすぎたこと、平衡感覚が現生人類より劣り、俊敏性に欠けていたことなどが絶滅の原因と考えられている。現生人類との混血は不可能か、または1世代限りと言われるが、正確なところはわからない。

もし今回ゲノムが解析され、現生人類と遺伝子的にどの程度の差だったのかがわかれば、ネアンデルタール人の謎はかなり解明されると思われ、非常に興味深い。

コウモリと馬・犬は近い種だった?

コウモリは馬や犬と近い仲間で、サルやネズミ、ウサギなどとは遠い種であることが東工大のDNA解析により判明したとのこと。
http://www.asahi.com/science/news/TKY200606200469.html

この結果から見ると、ヒトから見て牛、クジラ、コウモリ、馬、犬はDNA的にはほぼ同程度離れているが、牛・クジラのグループとコウモリ・馬・犬のグループがまず分かれ、その後コウモリと馬・犬のグループが分かれたことになる。DNAレベルでどのくらいの差があるのかは定かではないが、系図の位置的には、コウモリから見た馬や犬は、ヒトから見たチンパンジーとボノボと同じ位置関係ということになる。

合計特殊出生率が1.25に

合計特殊出生率5年連続で最低を更新、1.25になった。
http://www.sankei.co.jp/news/060601/sha101.htm

一気に1.25まで下がってしまった。女性8人で10人しか子供を生まない計算になる。
年金財源のシミュレーションなどでは、中位推計といって出生率1.39を使うことが多いが、1.39と1.25ではどのくらい違うのだろうか。

表計算ソフトを使って簡単なシミュレーションをしてみた。単純化するため、現在の日本女性の人口ピラミッドはどの年代も均一、寿命は一律85歳、30歳で出産、人口は男女同数で現在1億2千万人とする。結果は次のとおり。
●出生率1.39の場合:2100年で58百万人、2234年(228年後)に人口10分の1、2429年(423年後)に100分の1になる。2836年(830年後)には人口1万人に。
●出生率1.25の場合:2100年で48百万人、2190年(184年後)に人口10分の1、2341年(335年後)に100分の1になる。2659年(653年後)には人口1万人に。

人口減少のペースが更に加速しそうだ。ちなみに 出生率最低の東京都なみ(0.98)で計算するとどうなるか。
2100年で31百万人、2143年(137年後)に人口10分の1、2242年(236年後)に100分の1、2451年(445年後)に人口1万人になってしまう。

人類起源に新説

人類がチンパンジーとの共通の祖先から分かれたのは800万年前頃というのがこのところの定説。実際、アフリカでトゥーマイ猿人という、2足歩行をしていたと思われる霊長類の化石が発掘され、これがヒトに分岐した初期の化石と言われている。

今回米ハーバード大などが英科学誌ネイチャーで発表した新説は、ヒトへの分岐は630万年前~540万年前の間としている。これが正しければ、一旦2足歩行を獲得したヒトとチンパンジー共通の祖先が、再び入り混じった後に再び分岐したということになる。トゥーマイ猿人はヒトの祖先なのか、2足歩行をしていたチンパンジーの祖先なのか一体どちらなのか?解き明かされつつあった謎がまた迷宮に入ってしまう。そもそもほとんど原型をとどめず、発見した部位も極めて少ないトゥーマイが2足歩行していたかどうかも怪しいのだが…。

しかしこの説が正しければ、2足歩行についてある説が浮上してくるのではないかと思う。

ヒトとチンパンジーは、分岐する前から既に2足歩行をある程度獲得していたという説だ。もっというと、更にさかのぼってゴリラと分岐する前に既に2足歩行していたかもしれない。これは決して根拠のない説ではない。

チンパンジーやゴリラの歩き方は、「ナックルウォーク」といって、真猿とは異なる。真猿は手のひらを地面につけて4足歩行するが、類人猿は指の第2関節を折り曲げ、指の背(第2関節より先)を地面につけた独特の4足歩行をする。真猿と歩き方が違うのは、一旦2足歩行を獲得した後、何らかの理由で4足歩行に戻したからだというのがその根拠。4足歩行のまま真猿式の歩行からナックルウォークに移行するための必然的な理由が見当たらないからだ。また、ヒトの指の付け根の関節は反対方向にもある程度曲がる(反る)が、類人猿の場合は反らないようにストッパーがついていて、ナックルウォークに適した骨格になっている。もしヒトがチンパンジーに似た類人猿から進化したのなら、そのストッパーの名残が骨にあるはずだが、そういった形跡は見られない。

個人的にはこの説は以前から買っていたので、今回の発表は非常に興味深い。今後の研究結果が待たれる。